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ピロリ菌の原因(感染経路)

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皆さん、こんにちは。
本日はよくご質問いただくピロリ菌の感染原因について解説いたします。
最近は上下水道も整い、ピロリ菌の感染も少なくなってきていますが、まだまだピロリ菌の感染例は多くあります。
そもそもピロリ菌って何?という方は当院の「ピロリ菌感染」のページもご参照ください。

 

 

ピロリ菌はどうやって感染するのか?


実はピロリ菌が感染する流れや経路というのははっきりと特定ができないのですが、主に経口感染が経路としては有力であると考えられています。
また、もう日本ではあまり考えられないですが、上下水道の整備が完全ではない国や地域での感染率は高いと考えられます。かつての日本でも生水を飲むことでピロリ菌に感染してしまうことがありましたが、今の高水準の衛生環境下にある日本では、水からピロリ菌感染というのは考えにくいでしょう。


そのような中で主に考えられるのが下記のような感染経路です。


①不衛生な場所での感染
発展途上国等の海外に行った場合に感染してしまうケースです。上下水道などの衛生整備が不完全な地域で、便を触ったゴキブリやハエなどの虫が、井戸水等に触れて感染してしまうことがあります。ピロリ菌に感染した場合、便からもピロリ菌が発見されます。


②家庭内感染
基本的にピロリ菌は5歳程度までの感染がほとんどです。なぜなら幼少期は胃酸が弱く、ピロリ菌が胃の粘膜に定着しやすいと考えられているからです。一度感染した場合、大体は胃の中に住み続けることになります。また、お子さんに口移しや、噛んで柔らかくしてあげてからご飯を食べさせることでも感染する可能性があります。ピロリ菌は口からの侵入が多いため、口移しをする際もピロリ菌に感染していないかどうかを事前に確認しましょう。


③医療現場における感染
海外での報告ですが、医療現場において口に使う器具に対して、十分な滅菌・消毒フローを怠ったことで、感染してしまった例があります。これも同様に、口を介した感染です。似たような例として、過去、血液製剤や予防接種が原因で、C型肝炎が流行ってしまったことがありました。そういった事例から、日本の医療機関では、殺菌・滅菌について徹底したガイドラインが存在しており、衛生管理に関しては万全のため、国内における医療現場でのピロリ菌感染はほぼ無いと考えて問題ありません。

 

 

ピロリ菌が引き起こす病気や症状


ピロリ菌に感染したからといって必ず出る症状が決まっているわけではなく、人によって違います。例えば当院で行っている胃内視鏡検査で直接胃の壁面を確認したとしても、はっきりと胃炎を起こしている方と、健康な状態と変わらない方もいます。

ピロリ菌は、胃の中に存在する「尿素」をアンモニアと二酸化炭素に分解します。アンモニアという物質はアルカリ性のため、酸性の胃酸を中和することができます。ピロリ菌は自身の周りの環境だけを中和して、生き残っているのです。その中和を行う作用によって胃に害をもたらします。
よく発症するのは胃炎ですが、放置されることで「萎縮性胃炎」と呼ばれる状態となります。胃内視鏡で見てみると、胃の表面が白っぽくなっていることが確認でき、この状態になってしまうと胃がんへの発展リスクが急上昇してしまいます。

 

 

お家で出来るピロリ菌の感染予防法


ピロリ菌の感染は現代では少なくなったとはいえ、対策をすることでより感染可能性を下げることができます。小さいお子さんがいらっしゃるご家庭は下記の対策を心がけてみましょう。


①日常生活での対策
家庭内のピロリ菌感染は、大人から子供です。大人から大人はほぼ考えられません。つまり、大人の感染が無ければ問題ないということですので、まずご両親を含めた大人が検査を受けてピロリ菌に感染しているか確認しましょう。感染していたら除菌すれば問題ありません。また、大人のトイレ後の手洗いやタオルの管理、外出後の手指の消毒も意識をしましょう。胃酸の分泌量が十分でない乳幼児等は、親からの口移しでも感染しますから、口移しもできるだけ避けましょう。


②食生活での対策
塩分を多く摂りすぎると、胃の表面の粘膜を削ってしまいピロリ菌が胃にダメージを与えやすくなってしまいます。結果的に感染が発覚し除菌に繋がることもありますが、必要以上に摂取することは避けましょう。成人の塩分の摂取目安は「男性一日7.5g、女性6.5g」です。塩分過剰摂取の対策は意外と簡単ですので、意識してみましょう。

・弁当の付属ソースを全部かけない
・みそ汁は具材を多くして、汁の量は減らす
・昆布やカツオなどの出汁を使う
・減塩商品を選ぶ
・塩から香辛料やレモンなどに置き換える

 

 

ピロリ菌感染におけるよくある質問


ピロリ菌は遺伝する可能性はありますか?

ピロリ菌は遺伝性疾患ではないとわかっているため、親がピロリ菌になったから子もなるという理屈はありません。
しかし、親が感染したことで口移しで感染させてしまったりするケースもあるため、一見遺伝したように見えますが、それは遺伝ではありません。心配であれば医師の相談のもとに検査を行うことをお勧めします。

経口感染するということは、ピロリ菌はキスでも感染するのですか?

ピロリ菌はキスでは感染しないと考えられています。成人した後のピロリ菌感染の確率はほとんどないためです。
しかし、大人から子供へのキスは感染の可能性がありますので、注意が必要です。

基本的に水は水道水から飲んでいるのですが、大丈夫でしょうか?

今の日本であれば問題ないでしょう。このページでも説明したように、上下水道の整備がままならない時代であれば、井戸水からの感染は少なくなかったですが、現代においては生水からの感染はほぼあり得ないと考えられています。

感染しても自覚症状が出ないことがあると聞きますが、本当ですか?

はい、あり得ます。ピロリ菌に感染しても、強い痛みを感じる人と、そうでない人がいて、体質や免疫力によって変わります。世界規模でみると、2人に1人はピロリ菌に感染していると言われていますが、症状が出ずに日常を過ごしている人も多いのです。

 

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文責
那覇市で胃内視鏡検査なら いらはクリニック
副院長:白石牧子

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